麻酔のメカニズムを徹底解明!

麻酔の種類

 麻酔の種類は大きく分けて二つ。単独で行うこともあれば、併用することもあります。手術部位や患者さんの身体の状態によって、適切な麻酔方法を選択します。

全身麻酔
麻酔薬で眠らせ意識がない状態で手術を行います。麻酔薬の影響で呼吸が不十分になるので人工呼吸器で呼吸をサポートします。

区域麻酔
全身麻酔と違い意識がある状態で手術を行います。下記の方法で手術をする部位に麻酔をして、痛みを取ります。

区域麻酔の種類

硬膜外麻酔【胸部や腹部下半身の手術によく使う】
脊椎の中にある脊髄(神経の束)のすぐ近くの硬膜外腔に局所麻酔薬を入れて、手術部位の痛みを感じないように、あるいは痛みを弱くします。手術後2~3日、カテーテルから痛み止めを入れることもできます。

脊髄くも膜下麻酔【下半身の手術によく使う】
脊髄が存在する脳脊髄液が満たされた場所に局所麻酔薬を入れて痛みを取る方法です。腰の骨(腰椎)の間から注射をします。

伝達麻酔
特定の神経の周囲に局所麻酔薬を投与して、その領域の痛みを取ります。手や足の短時間の手術を行うことができますが、全身麻酔を併用して手術後の痛み止めとして使用することもあります。

局所麻酔
皮膚や皮下、粘膜に局所麻酔薬を注入することで手術をする部位の知覚を一時的に麻痺させる方法です。

全身麻酔のメカニズム

 厳密には、全身麻酔のメカニズムは未だ解明されていません。
 脳を含む神経細胞の活動を抑制し情報伝達を遮断することで、手術の刺激に対する痛みや反射などの反応を抑えるということが部分的に解明されています。

全身麻酔のときの体の状態

 麻酔薬で眠っている状態の脳波を調べると、ノンレム睡眠のうちの深い睡眠(徐波睡眠)と似ていると言われています。呼吸が浅くなり、自力で呼吸することができなくなるため、口から管を挿入して人工呼吸を行います。