香川県済生会病院外科では、患者様を中心にしたチーム医療で、最新・最良の治療を提供することを目標にしています。
特長
治療開始の時期について
悪性の疾患が見つかると、手術などの治療が必要と判断されます。ほとんどの疾患は、治療開始が数週間遅れたからといって手遅れになることはありません。しかし、少しで早く治療を開始したいという心情があります。済生会病院は、小回りのきく中規模病院であることを利点としており、診断がついてから治療開始までの期間をできる限り短縮することに努めています。
また、治療時期を選ぶことのできる良性疾患の場合は、患者様の都合のいい時期に治療(手術など)を受けて頂くことが可能です。
単孔式腹腔鏡下手術について
当院では単孔式腹腔鏡下手術を香川県下でもいち早く取り入れ、積極的に行っています。
この手術は、通常4~5カ所の穴を開けて行う腹腔鏡手術をお臍の穴1カ所だけで行う手術です。お臍を2~3cm切開して手術を行いますが、手術創は美容形成のテクニックを用いてきちんとお臍を形成しますので、お臍がなくなることはありません。また傷そのものがお臍のくぼみの中に隠れるので、術後しばらくするとほとんど傷が目立たなくなります。
この手術のメリットとして以下のようなことが考えられます。
- 傷が小さいことにより、整容性に優れている。
- 傷が少ないぶん術後の疼痛も少ない。
- 術後の消化管運動の開始も早い。
- 早期の退院や社会復帰が可能。
- 手術に伴う術後癒着も少ない。
デメリットとしては、手術の操作性が制限されるため手術難易度が高くなることですが、当院ではこの手術に習熟した医師が多く、安全に手術を遂行しています。これまでに胆嚢摘出術を中心に900例以上の経験があります。
令和3年9月26日にかがわ国際会議場で行われた一般財団法人日本消化器病学会四国支部 市民公開講座で副院長の石村健が講演した内容をご紹介します。
「胆石症に対する外科治療~単孔式腹腔鏡下手術のすすめ~」
※なお、この動画には実際の手術映像が含まれておりますので、苦手な方は視聴をご遠慮ください。
当院での単孔式腹腔鏡下手術 1,058例(2010年4月~2023年12月)
件数 | |
---|---|
胆嚢摘出術 | 775例 |
虫垂切除 | 171例 |
結腸切除 | 45例 |
イレウス解除 | 37例 |
胃部分切除(LECSを含む) | 15例 |
小腸切除 | 13例 |
大網切除 | 2例 |
癌化学療法について
高度に進行した食道癌・胃癌・大腸癌の治療は手術だけで根治を得ることは難しく、化学療法(抗癌剤の治療)などを組み合わせることでより高い治療成績を得ることができます。済生会病院外科は、手術と化学療法の流れをスムーズに行うことができるため、術前術後の補助化学療法や胃癌の腹膜転移に対する治療経験も豊富です。
術後の患者様への対応について
香川大学医学部附属病院腫瘍センターと連携し、癌に対する入院・外来通院化学療法や緩和医療も積極的に取り組んでいます。このため、当院で手術を受けて頂いた患者様にたいしては、責任を持って術後の化学療法や緩和医療を行います。
担当医師
院長若林 久男(わかばやし ひさお)
- 出身大学
- 愛媛大学 / 昭和58年卒
- 専門分野
-
- 一般外科
- 消化器外科
- 肝胆膵外科
- 内視鏡外科
- 癌化学療法
- 資格
-
- 医学博士(平成7年取得 香川医科大学)
- 日本外科学会認定登録医
- 日本消化器外科学会認定消化器外科専門医
- 日本がん治療認定医機構暫定教育医
- 日本医師会認定産業医
副院長石村 健(いしむら けん)
- 出身大学
- 香川医科大学 / 平成6年卒
- 専門分野
-
- 一般外科
- 消化器外科
- 肝胆膵外科
- 内視鏡外科
- 癌化学療法
- 資格
-
- 医学博士(平成10年取得 香川医科大学)
- 日本外科学会認定外科認定医・専門医・指導医
- 日本消化器外科学会認定消化器外科専門医・指導医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医
- 消化器がん外科治療認定医
消化器外科部長西村 充孝(にしむら みつたか)
- 出身大学
- 香川大学/平成17年卒
- 専門分野
-
- 一般外科
- 消化器外科
- 資格
-
- 医学博士(平成29年取得 香川医科大学)
- 日本外科学会認定医・専門医・指導医
- 日本消化器外科学会専門医・指導医
- 消化器がん外科治療認定医
消化器外科部長前田 典克(まえだ のりかつ)
- 出身大学
- 香川大学 / 平成20年卒
- 専門分野
-
- 一般外科
- 消化器外科
- 資格
- 日本外科学会認定外科専門医
消化器外科部長野毛 誠示(のげ せいじ)
- 出身大学
- 香川大学 / 平成21年卒
- 専門分野
-
- 一般外科
- 消化器外科
- 資格
-
- 日本外科学会認定外科専門医
- 日本腹部救急医学会認定腹部救急認定医
主な対応疾患
- 一般外科(切創・蜂窩織炎・動物咬傷など)
- 消化器外科(悪性疾患:食道がん・胃がん・大腸がん・肝がん・胆道がん・膵がんなど
- 良性疾患:胆石・胆嚢炎・急性虫垂炎・鼠径ヘルニア・内痔核など)
- 癌化学療法(高度進行消化器がん・腹膜がんなど)
外科手術実績(過去5年分)
※表は横にスクロールしてご覧ください。
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
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全手術件数 | 284 | 258 | 246 | 246 | 228 |
腹腔鏡下手術件数(悪性腫瘍手術を含む) | 172 | 157 | 166 | 153 | 121 |
単孔式腹腔鏡下胆摘件数 | 60 | 66 | 49 | 55 | 57 |
TAPP(腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術)件数 | 47 | 37 | 48 | 32 | 18 |
各年1月〜12月の1年間で集計
手術部位感染(SSI)発生率
虫垂の手術
ヘルニア手術
胆嚢手術
消化器外科系手術SSI発生率